農業法人とは
農業法人について法律上の定義はなく、一般的に広く農業に関する事業を営む法人とされます。
農業と聞いて通常思い浮かべる農産物の生産のほか、農産物の加工、流通販売、体験農園、農家レストランなど、およそ農業に関わる事業を営む法人を含みます。
この農業法人のうち、農業を営む法人を、便宜、営農法人と呼ばせていただきます。
そして、この営農法人のうち、農地の所有権を取得しうる法人が農地所有適格法人です。
農地の所有権までは取得しない、賃借権・使用借権といった利用権を取得して営農する一般法人を、便宜、リース法人と呼ばせていただきます(農水省もこの呼び方をすることがあります)。
農業法人のうち、営農ではなく流通販売等の関連事業を営む法人を、これも便宜、関連法人と呼ばせていただきます。
本当にややこしいのですが、図にするとこんな感じでしょうか。
農地所有適格法人とは
農地所有適格法人は身も蓋もない言い方をすれば、単なる株式会社、合同会社です。学校法人、宗教法人のような認可を受けた特殊な法人ではありません。
会社法人は原則としてそもそも農地の所有ができません。これは大地主の出現を防ぐためと言われています。
そのため、株式会社や合同会社が農地の所有権を取得したいからと農業委員会に許可申請を出しても、どんなに優れた人材やノウハウ、機材を持っていても、法人というだけで撥ねられることとなります。
ですが、法人形態で営農することも一定の合理性が認められるのも事実です。
そこで、一定の要件を充たす法人について、例外的に農地の所有権を取得することが可能とされています。この要件を充たす株式会社、合同会社を農地所有適格法人と呼びます。
正確性には欠けますが、農地所有適格法人とは「売り上げや機関構成等から例外的に農地の所有が認められる株式会社、合同会社の通称」といったところでしょうか。
参考
農地所有適格法人の要件を充たしても農地取得には許可が必要
農地所有適格法人の要件を充たした法人を設立すれば、どこのどんな土地でもいくらでも取得できるわけではありません。
実際に農地を取得するには、その為の農地法の許可申請が必要です。
申請を受ける農業委員会側から表現すれば「農地所有適格法人の要件を充たしているなら法人でも申請は受け付けるよ。でも、許可が出るかは許可要件を充たしているか次第だよ」といったところでしょうか。
農地所有適格法人の要件を充たしているのに、農地取得のための許可は出なかった、農地を取得できなかったという場合もありえます。
また、法律上の許可条件とは別途、一定の要件が求められることもあります。特に新規農業参入のケースで、一定期間、農業普及センターの指導を受ける等です。
株式会社、合同会社が農地を取得して農業を始めたいという場合、
農地所有適格法人の要件+農地法の許可要件+(場合によって)追加要件
の要件を充たす必要があることとなります。