農地所有適格法人の要件
農地の所有権を取得することを希望する場合は、農地所有適格法人の要件を充たすことが必要となります。具体的な要件は以下になります。
1. 法人の組織形態要件
2. 事業要件
3. 構成員要件
4. 業務執行役員要件
1. 法人の組織形態要件
農地所有適格法人となることができる法人形態は、株式会社(非公開会社)、持分会社(合同会社、合名会社、合同会社)、農事組合法人(2号法人)のいずれかとなります。
2. 事業要件
当該法人の主たる事業が農業とその関連事業であることです。
具体的には、農業・関連事業の売上が売上高の過半であることです。直近3ヵ年の売上高から判断されます。新規参入者の場合、今後3か年間の事業計画に基づき判断されます。
なお、農業関連事業としては、農畜産物の貯蔵、運搬又は販売、農業生産に必要な資材の製造、農作業の受託などが挙げられます。
例えば、りんごの生産を行う法人が、自己の生産したりんごに加え、他の農家等が生産したりんごの貯蔵、運搬、販売を行うような場合は、「農畜産物の貯蔵、運搬又は販売」に該当するとされています。
3.構成員要件
農地所有適格法人においては、農業関係者が議決権の過半を占める事が必要とされます。
株式会社では株主の議決権の過半、合同会社では社員の議決権の過半となります。
農業関係者とは以下のような者を言います。
① 農地の権利提供者
法人に農地を貸したり売ったりした者です。
② 農作業委託農家
法人に農作業を委託する個人農家です。「農作業」とは、農作物を生産するために必要となる基幹的な作業をいいます。具体的には、水稲については耕起・代かき、田植え及び稲刈り・脱穀の3作業などが挙げられています。
③ 農業の常時従事者
農業に常時従事している個人です。
常時従事しているといえるためには、原則としてその法人の行う農業に年間150日以上従事することが必要ですが、一定の場合、要件が緩和されます。
4. 役員要件
農地所有適格法人においては役員について以下のような要件が設けられています。
①役員の過半が農業の常時従事者たる構成員(株主、社員、組合員等)であること
② 役員または重要な使用人のうち、1人以上が農作業に原則年間60日以上従事することが必要とされています。
②に言う農作業とは、田畑などの農場で行う農作業をいい、帳簿の記帳や集金などは含まれません。
また、法律上の要件ではありませんが、代表取締役や代表社員などは常時従事者であることが望ましいとされています。