株式会社か合同会社か

法人として新規に農業に参入する、個人農業を法人化するため農地所有適格法人を設立する場合、株式会社か合同会社を設立することとなります。

では、どちらを選ぶのが良いでしょうか。

まず、会社の運営という点では両者にさほどの違いはありません。

例えば、株式会社は出資額に応じた経営権が得られる(1株1議決権)のに対し、合同会社は1人1議決権であるため出資が多ければより大きな経営権を得られるものではないとされます。ただ、合同会社も定款により出資額に応じた経営権を得られるように定める事ができます。

合同会社は柔軟性が高いので、定款により株式会社に近づけることも可能となっています。

 

どちらを選ぶか、極めて大まかに言えば、取引先を増やし事業規模を拡大していくのであれば株式会社、家族経営で地域密着型の農業を営んでいくのであれば合同会社が選択肢ということができます。

株式と合同、さほどの違いはないとはいえ、やはり一般的な認識としては株式会社がより信用があるのは否めません。

また、取引先を増やし、事業規模を拡大していく過程で取引相手から会社への出資を希望されることも出てきます。その方法として新株を発行してほしいと希望されることもあります。当然、新株発行は株式会社でなければ行うことはできません。

農業法人以外の合同会社のケースですが、取引先から新株発行による出資を希望されたことから、株式会社に組織変更したというケースもあります。

他方、従来営んできた家族経営的な農業を、そのまま当該地域で営んでいくのであれば、必ずしも株式会社でなくとも差し支えないと言えます。会社というより、その農家さんが取引、信用の対象であり、また、あくまでイメージとしてはですが、合同会社の方がビジネス色が前面に出ないとも言えます。

どのような方針で営農していくのか検討したうえで、株式か合同かを選択するのが良いでしょう。