新規農業参入
食品会社や外食産業が自前の農産物を調達するために農業に参入するなど、他業種からの農業参入が増えつつあります。
他業種から新たに農業に参入する場合、機具や資金を用意することが必要なのは無論ですが、更に種々の手続を経る必要もあります。
農業参入のための具体的な手続は、どのような参入方式をとるかにより異なってきます。
農業参入のための具体的手続
法人について
・別法人として農地所有適格法人を設立して農業を営む。
・既存の法人を農地所有適格法人化して農業を営む。
・従来の法人がそのまま一般法人として農業を営む。
・別法人として一般法人を設立して農業を営む。
農地の権利取得について
・農地の所有権を取得する。
・農地の利用権を取得する。
上の法人と農地の権利取得について、それぞれいずれを選択するかにより、参入に必要な具体的な手続が異なってきます。
新法人を設立するのであれば法人設立手続、従来の法人を利用するのであれば組織変更登記、農地の所有権を取得するのであれば所有権移転登記という具合です。
営農開始までの期間
手続それ自体にかかる期間は以下となります。
・法人設立 1週間~10日
・変更登記 1週間~10日
・所有権移転登記 1週間~10日
・農地法許可・適格法人審査
農地法に関する各種申請の審査は1ヶ月に1度となっています。
月ごとに申請の締切日が設けられ、この締切から許可が出るまで、概ね3週間程度です。
農地の所有権を取得するかにもよりますが、1ヵ月半~2ヶ月が少なくとも必要な期間と言えます。
この他に、営農計画の策定、法人設立事項の確定、農業委員会の協議の期間が加わります。
特に農業委員会との協議は多数回に亘る場合もあるので、一定の時期までに営農を開始したい場合は早めの準備開始が必要です。
農業参入の手続にかかる費用
農業参入には、農機具や農地の地代などの費用のほか、手続上の費用がかかります。
農業参入にあたって行う手続としては、法人設立、組織変更登記、農地法許可・適格法人審査申請、農地の登記名義の変更(所有権移転登記。所有権を取得する場合)が挙げられます。
このうち、農地法の申請は手数料はかからないので、費用が生じるのは法人設立、組織変更登記、所有権移転登記となります。
・法人設立
株式会社 約25万円
合同会社 約10万円
・組織変更登記
商号・事業目的変更 3万円
役員変更 1万円
会社継続登記 3万円
有限会社の株式会社への組織変更 6万円~
・所有権移転登記
農地の評価額の2%
以上が農業参入にあたっての手続上の費用、実費となります。
上の各種手続を司法書士・行政書士に依頼した場合、その手続報酬が生じます。