新しく農業を始めるために農地を借りる場合、農地法の許可が必要となりますが、そのためには、原則として貸主が農地の名義人となっていることが必要です。

また、他の利用権者がいないことや、そもそも当該土地が農地として使える状態であることも必要です。

登記名義について

名義人については、法務局で農地の登記事項証明書(謄本)を取得することで農地の所有名義人が貸主になっているかが確認できます。

これは農地に限ったことではないのですが、土地や建物の相続登記がなされておらず、所有権登記名義人が被相続人のままだったため、土地建物を売ったり貸したりすることができないというケースは少なくありません。

被相続人名義であった場合、相続登記を行います。

他の利用権者について

また、賃借権の登記がなされていれば、これも上の登記事項証明書で確認することができます。

ただ、登記されていない利用権については、当然、登記事項証明書からは確認をすることができません。

そこで、貸主に確認する、農業委員会に確認するなどにより、他の利用権者がいないか確認します。

他の利用権者がいても、その利用権者との貸借契約等を解約してもらうことで農地を借りることは可能となりますが、貸主が補助金を受け取っていた場合にその返還が必要となる場合があるため、この点にも注意が必要です。

農地の現状について

利用権者がいなくても、肝心の農地が農地として使えない状態になっていることもあります。

使っていない農地があるから、貸してあげると言われて借りたが、使っていない間に耕作放棄地化してしまっており、そのままでは営農できないというケースもあります。

この点も、やはり貸主に確認したり、自分で現地を訪れて確認しておく必要があります。

法人を設立したり、先に契約書を作ったりしても、農地を利用できないのでは、それらが無駄になったり、トラブルの元になりかねません。

農地の状況は事前に十分に調査確認する必要があります。

そして、法人の設立や契約書の作成は、農地の権利関係や現状を確認し、農業委員会との協議が進んで、許可の見通しがついてから行うのが望ましいといえます。