法人が新規に農業に参入する方法としては、農地所有適格法人を設立して農地の権利を取得する方法や、一般法人のまま、農地の使用借権、賃借権を取得するという方法が挙げられます。

また、農業法人の買収、合併・会社分割等(いわゆるM&A)の手法も挙げることができます。

農業法人は個人農業が法人化したケースが多く、小規模な法人が全体の多数を占めているのが実情です。

そこで、農業の基盤強化などのため、政策的にも農地の集約、農業法人の再編が推進されています。

この農業法人の再編に係わる手続は多種多様なのですが、農地法に係わる手続についていえば、以下のようになります。

合併、会社分割などの場合は、農地法の許可は要しないとされています。

いわゆる包括承継であり、合併等の効力発生により農地の権利を含めた一切の権利義務が当然に移転することによります。

ただし、合併等の後の届出は必要となります。

これに対し、事業譲渡の場合は、いわゆる特定承継であるため、引き継ぐ農地ごとに農地法の許可が必要となります。

株式取得の方法による場合は、農地の権利の帰属に変動が生じるわけではないため、農地法の許可は必要とされていません