自分の持分のみを売却する場合
農地が共有状態にある場合、共有者はそれぞれ持分を有することになります。
ABCの3人が共有している場合で、持分が均等なら、それぞれ3分の1ずつ持分を有していることになります。
共有物と言っても、自己の持分を譲渡することは自由です。
上の例では、Aが自己の3分の1の持分をDに譲渡することができます。BCの同意を得る必要はありません。
ただし、農地法の許可は、単独持分権の場合と同様、必要となります。
農地全体を売却する場合
これに対し、農地全体を売却する、あるいは農地を非農地化する行為は、共有物の変更にあたり、共有者全員の同意が必要となります(民法251条)。
上の例では、ABC全員の同意が必要となります。
管理行為は持分の過半数で決定できる
また、共有物の管理行為については、持分の価格に従い、その過半数で決定するとこができます(民法252条)。
管理行為の例としては、農地を貸し出していたが、借主が賃料を支払わない等の理由で、賃貸借契約を解除する場合が挙げられます。
上の例では、AとBの決定で、賃貸借契約を解除することが可能です。
単独所有にすることも可能
このような共有関係に不便を感じ、単独所有に移行したいときは、共有者はそれぞれ、共有物の分割を請求することができます。
この分割がなされれば、例えばAが自分の農地を売却するにも、非農地化するにしても、BCの同意は不要となります。
ただ、共有物の分割は、共有物の各部分についての持分の交換・売買と考えられるため、農地の共有物分割には農地法の許可が必要となります。