市民農園開設

市民農園とは、サラリーマン家庭や都市の住民の方々がレクリエーションとしての自家用野菜・花の栽培、高齢者の生きがいづくり、生徒・児童の体験学習などの多様な目的で、小面積の農地を利用して野菜や花を育てるための農園のことをいいます。

日本国内においては、平成28年3月末の統計で、4,223の農園が開設されています。

開設しているのは地方公共団体が最も多いですが、農協、農業者(農家)、更にはNPO法人・企業による開設も増えてきています。

利用者にとってレクリェーションや教育、就農体験等様々な目的に適う一方、農業者にとっても高齢などにより自ら営農できなくなった農地を貸すことで農地を活用することができ、耕作放棄地化を防ぐこともできるといったメリットがあります。

開設の方法としては、市民農園整備促進法による開設、特定農地貸付法による開設、農園利用方式による開設が挙げられます。

農業者による開設

農業者が自らの農地を農園として貸し出す形式です。

上記のように農地を有効利用することで農業の負担軽減や利用料の収入を得られるというメリットがあります。

特定農地貸付法による開設

農地を小面積に区切り、これを利用者に貸す方法です。

自分の農地であっても、開設にあたっては市町村との貸付協定の締結が必要です。

要件

1. 利用者あたりの利用面積10アール(1000㎡)未満

2. 貸付期間が5年を超えない

3. 相当数の者を対象とした定型的な条件の貸付である

4. 利用者の営利を目的としない

5. 開設について農業委員会の承認が必要

これらの要件を満たすときは、農地法による許可は不要となります。

農園利用方式による開設

営農はあくまで農業者が行い、利用者は農作業を手伝うという方式です。

農地の貸し借りは伴わないので、農業委員会の承認や農地法の許可は不要です。

NPO法人や企業による開設

農地を所有していないことから、特定農地貸付法による開設となります。

地方公共団体などが農地の所有者から利用権の設定等を受け、その上でNPO法人や企業に貸し付け、更にこれらの企業等が利用者に貸し出します。

この場合も地方公共団体等、市町村と貸付協定を締結します。

その上で、上記1.~5.までの要件を満たすことが必要となります。

農業委員会の承認を経た上で開設となります。

市民農園整備促進法による開設

農家による開設、企業等による開設いずれでも、規模の大きい市民農園では休憩施設やトイレなどの付帯施設が必要となります。

この場合は、市民農園整備促進法による開設が考えられます。

開設場所は市町村が定める市民農園区域、市街化区域に限られるなどの制約がある一方、施設の整備について農地転用の許可が不要となります。